ほき4日記

つまひとり、こふたり、さらりーまん・ほきのへーぼんな日常。

1001話

日曜日、車の中でいつものように伊集院光のラジオ番組を聞いていました。
ゲストが登山家の野口健氏で、エベレスト登山や環境問題の深刻で難しいテーマを肩に力の入らない語り口で話していて、それは説得力があって、とても知的で面白くて、一緒に聞いていた妻と一気にファンになってしまいました。

ゲストコーナーの最後の方で「本を出しました」という話があり「面白そうだから読んでみようよ」ということになりました。
ところが悪いことに書名と出版社名を聞き漏らしてしまい「本屋で探そう」ということになりました。

いつものように特に行くあての無いドライブです。
本屋に行ったら子ども達にいろいろせがまれるのは火を見るより明らかですが、ついさっきまで聞いていた野口健氏の本を読みたさに大きな書店に入りました。

大きな本屋に入ったのが悪かったのか、新刊や登山コーナーや、あちこち探しても見当たらないんです。

「家でネットで調べてから買いにこよう」
ということにして、もう一度店の中をひとまわり。

レジの前に平積みされた本の中に青い表紙で分厚い本が目に入りました。

星新一 1001話をつくった人」 最相葉月

なつかしい…。
次の瞬間、その本を持ってレジに並んでいました。

中学校1年生の時に国語の教科書で読んで以来すっかりハマッてしまい、高校まで手当たり次第に熱心に星新一ショートショートを読んでおりました。

読み始めた頃は日本のSFの草分け的存在などということは知りもしませんでしたから、単純にお話を楽しんでいただけだったんですけど、いろいろと読んでいくうちに作家自身に興味が湧いてきて…。

ショートショートだけじゃなくて、時代モノがあったり、旅行記、伝記モノ、子供向けの童話みたいなものや、エッセイ、交遊記、民話みたいなもの、いろいろ。
あと、ショートショートコンテストの選集も、「星新一」とあるものは夢中で何度も読みました。
手に入る範囲でほぼ読みつくしてしまい、その後は読み返すことも無く、引越し・結婚を経てそれらの本もあちこちに散逸してしまいましたが。

新聞で訃報を見た時には自分の青春時代が遠いかなたに行ってしまったような悲しい気持ちになりました。
中高生の頃、本を読む、と言えば星新一で、この頃の自分とは切っても切れない思い出なのです。

今回、そのなつかしい思いとともに、この本をず~っと読んでいました。

作品を読んでいた時には全然気にしていなかったんですが、私が生まれた頃には既に大活躍していたまさに草分けの方だったんですね。
何かで読んだ幼少の頃の話や、星一氏や星製薬の話、SF黎明期の頃の話、…、知りたかった星新一のヒミツが次々と語られています。

「あれ、これも星新一なの、フシギなお話だなぁ」
「時代モノもおもしろ~い」
と思っていた当時の感想が読み進めるうちに思い出され、気分は中高生の頃に戻っていきます。
そして、それらの作品がどんな背景のどんな過程で作られたのか、が解説されていきます。

1000編へのカウントダウンの日々は読んでいて息苦しくなるほど緊張しました。
こうやって作られていたんだ、あのお話は…。
あぁ、読み返したい、あれらの本。

まだまだ先ですけど、定年後の楽しみが出来ました。

毎日公園で少しずつ文庫本で星新一の作品を読み返しながら中高生の頃の思い出に浸りたい!